ベテルギウス 2011 12 11

書名 ベテルギウスの超新星爆発
著者 野本 陽代  幻冬舎新書

 ベテルギウスという星は、オリオン座の一等星(変光星)で、
日本では、今の時期は、ちょうど見やすい時期でしょう。
 オリオン座自体が、冬の星座の中で、
最も目立つ星座と言えますので、
誰でも見つけることができるでしょう。
 昨日は、日本では、天頂付近で、皆既月食が見られ、
その南側では、大きく燦然とオリオン座が輝いていましたので、
多くの人が目にしたかもしれません。
 さて、書評に入ります。
以下は、引用です。
「オリオン座の一等星ベテルギウスに爆発の兆候。
2012年にも爆発か」
 2011年1月、そんな衝撃的なニュースが流れました。
地球から約640光年と比較的近い距離にあるベテルギウス。
そのベテルギウスが爆発したら、満月と同じくらいの明るさになると言われています。
 ベテルギウスは赤色超巨星に分類される赤く大きな星です。
質量は太陽の約20倍、直径は太陽の約1000倍もあります。
(以上、引用)
 「これは、史上最大の天文ショーが見られる。楽しみ」と喜んではいけません。
もし、ベテルギウスが爆発したら、
地球には、膨大な量の放射線が届くでしょう。
最初は、ニュートリノが観測され、その後、ガンマ線がやってくるでしょう。
 ただし、最近のNASAの研究では、
超新星爆発におけるガンマ線の放出には、
恒星の自転軸から2度の範囲の指向性があり、
地球は、その方向から外れていますので、
ガンマ線バーストが地球を直撃する可能性はないでしょう。
 「これで、一件落着。やれやれ、ほっとした」とはならないかもしれません。
もし、ガンマ線バーストの方向に、他の惑星があったら、大きな問題です。
その惑星に住む知的生命体を地球に避難(移住)させる必要があるかもしれません。
 アメリカは国土が広く、バブル経済の崩壊で、
土地が余っているので、最適でしょう。
(この段落は、SFですので、気にしないでください)
 昔、「シリウスBの墜落」という想定を科学雑誌で読んだことがあります。
シリウスという星は、おおいぬ座アルファ星で、
全天で(夜空で)最も明るい星ですが、
実は、シリウスは、シリウスAとシリウスBから構成される連星です。
シリウスBは、非常に小さな星で、白色矮星ですので、
小さな望遠鏡では見ることができません。
 ただし、小さいといっても、白色矮星ですので、
質量は、非常に大きなものです。
シリウスBは、太陽と同じくらいの質量があるにもかかわらず、
その半径は、地球の二倍ほどしかありません。
 そのシリウスBが、シリウスAに落ちたら、どうなるか。
そういうシミュレーションが科学雑誌に掲載されていたことがあります。
 ベテルギウスは、地球から約640光年ありますが、
シリウスは、地球からは、なんと8.6光年です。
これは、隣近所といえる近さでしょう。
 地球に近いシリウスで、このような異変が起きた場合、
地球には、まず膨大な量のニュートリノがやってくるでしょう。
もしかしたら、夜の海がニュートリノの影響で光輝くかもしれません。
それでも、地球は、ガンマ線の影響は避けられるでしょう。
 問題は、シリウスの近くにある惑星です。
この惑星に住む知的生命体は、どこに避難するか。
やはり、アメリカでしょうか。
アメリカは、自由の国です。
当然、宇宙人にとっても、自由の国であるはずです。
(この段落は、SFですので、気にしないでください)
 さて、話が脱線しましたが、
この本は、最後まで、飽きないで読めるという点で、
著者には、文才があると思います。
いや、教師としての才能があると思います。
最初は、興味本位のテーマで入って、
いつの間にか、しっかり天文学の基礎を身に付けられるという本です。
このような授業が行われれば、科学者の卵が、たくさん誕生するでしょう。
 アメリカは、バブル経済の崩壊で、
経済的には、焼け野原になってしまいましたが、
広大な国土に肥沃な大地、美しい自然があります。
しかも、自由の国です。
その上、移民に寛容な国です。
これは、極めて魅力的な不動産と言えるでしょう。
 もっとも宇宙から見れば、地球は公転していますので、
「不動産」ではなく、「動産」に見えるかもしれませんが・・・・・。































































































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